明日香村

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令和2年度 施政方針

 令和2年明日香村議会第1回定例会において、令和2年度の当初予算、並びに諸議案をご審議頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位及び村民の皆様方のご理解とご協力をお願いするものであります。
まず始めに、現在、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が進んでおり、その動向は予断を許さない状況と認識しています。これに対し、国をあげて取り組みを強化している中、村といたしましても、村民・国民の命を守るという観点から、幼小中学校の休園休校など村民の皆様方のご理解とご協力のもと、感染対策を進めております。今後の動向によっては、国・県と連携し、今回の当初予算案にとらわれず、新たな予算措置も含めて、速やかな対応を行ってまいる所存でありますことを、ご理解たまわりたくお願い申し上げます。
さて、日本経済は長期的にみればゆるやかな回復傾向を持続し、雇用や所得環境も改善しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博の開催等により、建設投資や消費の増加に加え、中長期的なインバウンド(外国人観光客)の増加も期待されています。一方で、少子高齢化が加速するとともに、介護・医療・社会保障などの課題も深刻化するなか、働き方改革などの新たな取り組みも始まっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、温暖化による気候変動、自然災害の激化等が日本社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
そのような中、国の令和2年度一般会計当初予算案の総額は102兆6,580億円で、前年度に比べ1兆2,009億円の増額となっており、8年連続で過去最大を更新しました。国債発行額の残高は令和2年度末で906兆円となる見込みで、今後の国の取り組み如何では、自主財源の乏しい明日香村の財政運営に大きな影響を及ぼすのではと危惧しています。
さて、本村においては、今年2月29日現在、人口は5,535人、高齢化比率は38.6%となっており、少子高齢化の進展、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大、公共施設の老朽化など、従来から懸念されてきた課題が継続しています。このような課題に対して、昨年は、老朽化した明日香村クリーンセンターに代わり、橿原市のクリーンセンターかしはらでのごみの受け入れが開始され、阪合小学校跡地周辺の住宅開発での入居が始まり、村で40番目の大字「檜前いおり野」が本年1月19日に誕生いたしました。
令和2年度は、「第5次明日香村総合計画及び総合戦略」、「第5次明日香村整備計画」の初年度であり、今後10年間の夢ある明日香づくりを進めていく上で、重要な位置づけとなる年です。新たな総合計画の将来像「いつまでも住み続けたい そう思える夢ある村」の実現に向け、関係機関と連携し、見守り支援の強化・買い物サポート・緩和ケア体制の構築など、子どもやお年寄りが安心して暮らせるむらづくりを重点的に進めてまいります。また、新庁舎建設事業や星野リゾート誘致などの重点プロジェクトや日本国はじまりのストーリーをつむぐとともに、文化財や農村景観を保存活用し、世界に光る「飛鳥ブランド」づくりに挑み、「飛鳥・藤原」の世界文化遺産登録を推進してまいります。あわせて、効果的な交通システムの検討をすすめ、歴史的風土の保存にかかせない農村景観の保全策として、鳥獣害対策や戦略的な農業推進体制の構築にも重点的に取り組みます。その上で、個々の地域課題に対して、優先順位をつけながら一つ一つ村民目線に立って解決していくとともに、中長期的な視点に立ち、国・県・民間等との連携を深めながら、効果効率的な財政運営を進め、将来負担の軽減にも努めてまいりたいと考えています。
それでは、令和2年度当初予算案の概要についてご説明いたします。一般会計の予算総額は42億円で、前年度と比べると、総務費で新庁舎建設事業の本格化などにより3億6,865万円、45.3%の増、衛生費で焼却炉解体事業などにより1億269万円、37.4%の増、教育費で飛鳥ハーフマラソン事業などにより4,544万円、7.1%の増となっており、一般会計全体では4億5,800万円、12.2%の増となっております。一般会計と7特別会計、水道事業会計、下水道事業会計の合計10会計を合算すると、66億7,726万円となり、前年度と比べると4億4,891万円、7.2%の増となっております。

 

 それではまず、主要プロジェクトから説明させていただきます。
新庁舎建設については、事業用地を取得し、周辺の地区計画を決定し、あわせて実施設計・工事施工を一括で発注するデザインビルド方式により請負業者を決定し、実施設計に着手してまいります。また引き続き、既存公共施設の今後の利活用のあり方についての検討を行ってまいります。
宿泊施設等の誘致については、星野リゾートの建設計画の進捗に併せ、地区計画の作成や開発等に関わる諸条件の調整を行ってまいります。

 

 次に総合計画の5つのテーマに分けて各種施策を説明させていただきます。
第1は「特色ある歴史的環境で次代を担う子どもが育つ村」です。
はじめに、子育て支援についてです。母子の健康管理や虐待防止への対応を行うとともに、あすかっこアプリによる情報配信の充実や子育てに係る経済的な負担の軽減などに努めてまいります。また、保育支援や放課後児童クラブの実施に加えて、ファミサポあすかの会員を増やし、みらいっこルームでの一時預かり利用の拡大や啓発の強化に取り組み、安心して子どもを預けることができる環境の整備に努めてまいります。
教育においては、明日香の特色ある教育として、幼小中一貫教育、英語教育や郷土学習のさらなる充実と、少人数学級編成による一人ひとりへのきめ細かな指導を継続し、学力の向上と自立した感性豊かな子どもたちの育成を図ってまいります。
さらに、老朽化し、改修が必要な中学校の消防設備を更新し、安心安全な学習環境の整備に努めるとともに、国の令和元年度補正予算における国庫補助金を活用し、これからの超スマート社会に生きる子ども達のために、情報活用能力の向上をめざして、校内のコンピュータや情報通信ネットワーク等の整備を行ってまいります。

 

 第2に「万葉の地で元気にいきいきと暮らせる村」です。
はじめに、健康・医療・介護についてです。奈良県立医科大学と連携して、「あすか健康プロジェクト事業」を継続するとともに、糖尿病性腎症の予防や未受診者への受診勧奨を強化し、健診の受診率の向上や生活習慣病の予防に努め、医療費の適正化を図ってまいります。
また、社会福祉協議会と連携し、高齢者の居場所であるサロン活動等でフレイル予防事業を拡充しながら、担い手であるボランティア活動の支援と育成にも努めることで、多世代にわたり健康意識の高揚と社会参加の促進に繋げ、健康寿命の延伸を図ってまいります。
高齢者の日常的な生活支援については、買い物や見守り支援などの現況把握や調査・分析を行い、各種関係団体と地域における支え合いの体制づくりを協議してまいります。
次に障害者福祉においては、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービスの提供体制の充実を図るとともに、保健・医療・福祉関係者や保育・教育等の関係機関が連携し、支援体制の確保に努めてまいります。
令和2年度が最終年度にあたる「第7期高齢者福祉計画及び介護保険事業計画」並びに「第5期障害福祉計画」について、これらの着実な推進を図るとともに、計画に位置付けられている施策・事業の成果や評価に取り組んでまいります。

 

 第3に「古都にふさわしい安全・安心で生活しやすい村」です。
はじめに道路整備についてです。村道地ノ窪線の道路改良工事の今年度完成を目指すとともに、国道169号の交差点改良、県道多武峰・見瀬線の島庄地区や主要地方道桜井明日香吉野線の石舞台地区のバイパス整備については、引き続き、奈良県に働きかけを行い、早期完成を目指してまいります。既存の集落内の道路については、地元の要望等を踏まえ、緊急度や利用状況等を勘案して整備を行うとともに、周遊歩道についても経年劣化した舗装等の修繕を行い、利用者がより安全・安心・快適に通行できるよう努めてまいります。
橋梁については、長寿命化を図るため、定期点検を行うとともに、点検により修繕が必要な橋梁について設計を行ってまいります。
水道事業については、安全で安定した給水を行うため、老朽管の更新工事を行うとともに、上居・細川地区に送水している加圧ポンプの更新を行ってまいります。また、持続可能な水道経営を目指して、県や関係市町と連携し、県域水道一体化に向け検討してまいります。
次に、下水道事業については、生活環境の改善と河川等の水質保全を図るため、下水道整備を進めるとともに、水洗化を促進してまいります。今年度予定の細川地区の整備を最後に、計画した下水道整備は概ね完了となります。
また、村民の生命や財産を災害から守るため、ため池については、国の防災重点ため池の選定基準の見直しに伴い、追加選定した8箇所のため池のハザードマップを作成するとともに、県が稲渕地区で実施する急傾斜地崩壊対策事業を促進してまいります。
さらに、台風や局地的豪雨など、従来想定していなかったような自然災害が発生していることから、地域の実情に見合った防災・減災対策や自助・共助の意識を高める防災訓練を実施してまいります。加えて、非常時に備え、備蓄品等の充実・強化に努め、併せて自主防災組織の活動支援や災害に対する意識の醸成のために防災リーフレットの作成に取り組んでまいります。
ごみ処理については、飛鳥地域の広域行政連携により、燃えるごみの焼却処理を橿原市に委託したことで不要となった焼却炉を解体し、跡地にストックヤードの増設を行ってまいります。
公共交通については、引き続き高齢者など交通弱者に対する外出支援を行い、住民生活の利便性の向上を図るため、乗合交通等の運行や福祉運賃の設定、バス路線の維持を行ってまいります。併せて、現状の運行体制の課題や村民ニーズに対応して、今後の公共交通の見直しを行うための調査を実施してまいります。
居住・定住については、近年は社会増の傾向にあるものの、長年人口減少が継続しており、地域活力の維持と多様な年代が豊かに住み続けられる村づくりが喫緊の課題となっております。村内に増加する空き家に移住希望者が定住できるよう、空き家バンク制度を継続します。また、子育て世帯が本村に住み続けていただけるよう、住宅を新築された際の助成金交付を引き続き行ってまいります。

 

 第4に「古代史の舞台で交流を促し元気のある村」です。
はじめに、農業の振興についてです。農業従事者の高齢化や担い手の減少が加速化するなか、農業の担い手育成支援として、新規就農者の獲得や定着支援を図ります。また、地域おこし協力隊制度等の活用により、「農業の担い手」の維持・確保を行ってまいります。さらに、50歳未満の農業者が行う、農産物の生産・加工等に必要な機械や施設の取得等に係る経費に対する支援も行ってまいります。
また、一般財団法人地域振興公社と連携し、農作業受託業務の拡大や省力化野菜の産地化に向けた取り組み、並びに明日香村産の農産物を使用した加工品・特産品の開発や販路拡大への取り組みなど、6次産業化の取り組みを進めてまいります。
有害獣対策については、継続事業である猟友会との連携による捕獲や防御対策に加え、ICT技術を活用した有害獣の行動調査や生息調査のデータ分析を踏まえて、新たに集落の防御力を高めるための集落診断事業を実施し、農産物の被害軽減に努めてまいります。
また、有害獣のすみかとなる荒廃化した林縁部において、新たに広葉樹林化による緩衝帯を創出し、有害獣による農産物の被害軽減に努めてまいります。
加えて、「明日香村の農業をどのような維持・発展を目指していくべきか」について、農家や農業関係団体等のご意見を踏まえ、先端技術の導入や新たな担い手確保の手法などの今後の方針を示すべく、「農業戦略」の策定を進めてまいります。
林業の振興については、木材価格の低迷により森林の管理や施業の放置が進んでいることから、県の森林環境税等を活用し、間伐等の森林施業や間伐材の有効利用を促進するとともに、森林の有する公益的機能の強化を図ってまいります。
商工業の振興については、商工業者が経営の合理化や近代化などを図る際に必要な資金融資に対し、債務保証料や利子に対する支援を行うとともに、Uターンや移住者などによる古民家等の改修への支援も行ってまいります。
また、チャレンジショップ事業についても継続実施するとともに、新たな創業や事業継承等の民間事業に対する各種支援について、明日香村商工会等と連携して取り組んでまいります。
観光振興については、五感で体験できる「明日香まるごと博物館」づくりを進め、明日香村の価値や魅力を広く発信するとともに、国内外からの誘客や交流を促進し、観光産業の発展に向けて取り組んでまいります。
観光情報の発信では、観光ポータルサイトによるWEB情報発信や総合パンフレットの配布、並びに、インバウンドを対象としたインフルエンサーの活用によるWEB情報発信等に取り組み、明日香の認知度の向上に努めます。
観光の誘客促進では、一般社団法人飛鳥観光協会と連携し、地域の観光資源を活かした着地型旅行商品の造成や体験メニューの充実を図ることで、閑散期対策や滞在時間の延長による観光消費額の増加につなげてまいります。また、一般社団法人大和飛鳥ニューツーリズム協議会による教育旅行の誘客促進に対する支援も実施してまいります。
観光交流では、飛鳥光の回廊や古都飛鳥文化祭の開催を通じて、都市住民との交流促進に取り組むとともに、日本遺産などの共通テーマを持つ地域等との広域連携による観光交流を進めてまいります。
また、今後の村の観光産業の発展のためには、地域の魅力を国内外に誇れる“飛鳥ブランド"を形成していくことが必要と考えています。そこで、あらためて地域経営の観点から、観光実態調査等の各種データを分析し、観光事業に取り組む皆様の意見を踏まえた上で、効果効率的に観光事業者の支援や受入環境の整備を行い、あわせて観光プロモーションを展開していけるよう、明日香村の「観光戦略」の策定を進めてまいります。
加えて、東京オリンピック・パラリンピック等の開催により、国民全体のスポーツへの興味関心が高まりつつあるなか、閑散期に「飛鳥ハーフマラソン」を開催して、新たな明日香ファンの獲得を図ることで、交流人口や関係人口の増加を促し、地域活性化をめざしてまいります。

 

 第5に「世界遺産登録による歴史的風土を守り活かし新たな文化をつくり出す村」です。
まず、『飛鳥・藤原』の世界遺産登録について、ユネスコへの早期申請を目指し、提出した推薦書(素案)について、文化庁の文化審議会の意見を受けた修正作業を実施するとともに、日本遺産『日本国創成のとき~飛鳥を翔た女性たち~』を国内外に発信するなど、飛鳥を世界に発信する取り組みを強化してまいります。
令和2年度から導入される「飛鳥ナンバー」について近隣市町村と連携し、交付率の向上に努めてまいります。さらに、飛鳥ナンバーの発行に合わせて、現在図柄案アンケートを実施しております原動機付自転車の図柄入りナンバープレートの普及に努めてまいります。
また、村の文化財の価値や魅力をわかりやすく伝えるため、「見える化」「体感」を意識した文化財の保存と活用を図ってまいります。具体的には、飛鳥宮跡について、県と連携して史跡指定の追加及び公有化を促進し、整備・活用の手法を検討してまいります。あわせて飛鳥京跡苑池についても、実物展示も含めた整備の促進を働きかけてまいります。
牽牛子塚古墳等の整備については、牽牛子塚古墳と隣接する越塚御門古墳との一体的な保存と活用に向け、復元整備を進めてまいります。さらに西飛鳥地域周遊の観光拠点となるよう、農業振興施設“アグリステーション飛鳥"と連動して、周辺の観光施設や地域資源とのネットワーク化を図るための準備を進めてまいります。
学術・文化・スポーツの分野については、明日香ゆかりの美術家による作品展「明日香の匠」展や公民館を中心に活動を展開されている各種団体・サークルをはじめ、次世代を担う子ども達による芸能発表の機会を設けるなど、村民の皆様が芸術鑑賞や発表の機会を通じて多世代にわたる交流ができる村づくりに寄与してまいります。

 

 以上、令和2年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた令和2年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。

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