明日香村

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平成28年度 施政方針

 平成28年明日香村議会第1回定例会において、平成28年度の予算並びに諸議案のご審議を頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位並びに村民の皆様のご理解とご協力をお願いするものであります。
安倍総理は、今年一月の施政方針演説のなかで、「介護離職ゼロ」「希望出生率1.8」「GDP600兆円」という新しい三本の矢で、新しい経済社会システムを創り、一億総活躍社会を実現すると謳っておられます。また、地方に対しては、地方の創意工夫、意欲的なチャレンジで地方創生に取り組むよう求めておられ、そのために分権改革を進めると述べておられます。
一方、日本銀行は一月下旬、「マイナス金利政策」の導入に踏み切りましたが、政策決定直後から市場は円高株安に振れ、今後国債の買い控えや金利の乱高下なども心配されており、日本経済の中期的な動向は不透明な状況にあります。
国の平成28年度一般会計予算案の総額は96兆7,218億円で、前年度に比べ、3,799億円の増額予算となっており、当初予算としては4年連続で過去最大を更新しました。しかし、単年度におけるプライマリーバランスが依然として図られていない状況であり、国債発行額の残高は平成27年度末で807兆円になる見込みで、国の財政状況が村政に大きな影響を及ぼす可能性が懸念されます。
また、本村を取り巻く社会状況としては、人口は今年2月29日現在5,722人で、高齢化比率は35.7%となり、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大など、従前より懸念されてきた課題が顕在化しています。村としては、今年1月に明日香村総合戦略を策定し、「暮らしたくなる村づくり」、「働きたくなる村づくり」、「魅力を磨きつづける」を目標に、総合的に各分野の施策展開を推し進めていく考えです。
平成28年度の予算編成における基本的な考え方としては、少子高齢化や地域活性化など、本村における課題に集中的に取り組みながらも、引き続き規律ある財政運営を堅持し、将来負担の軽減を図り、第4次明日香村総合計画の着実な推進と、『明日香まるごと博物館』づくりを推進してまいりたいと考えています。
特に、村民のくらしの安全安心に関わる防災や福祉施策等への取り組みを継続・強化するとともに、子育て支援の充実や住まいづくり・仕事づくり並びに明日香の魅力発信などについて、新たな施策を展開していく所存です。
さて、本村の平成28年度当初予算案の概要ですが、一般会計の予算総額は、37億6,400万円で、前年度比3億6,400万円、10.7%の増となっています。また、一般会計、8特別会計及び水道事業会計の合計10会計を合算しますと、63億988万円となり、前年度比3億9,770万円、6.7%の増となっています。
平成28年度予算の主な増加要因は、防災倉庫整備事業1億円、道路整備事業1億6,000万円、並びに公有地等住宅開発事業特別会計の設置とその繰出金1億円などがあげられます。

 

 それでは施策について、5つのテーマに分けて説明させていただきます。

 第1は「明日香村第4次整備計画事業の推進」です。
計画の中間年度の平成26年度に、国の審議会(社会資本整備審議会 歴史的風土部会 明日香村小委員会)により、成果と課題が検証されました。
平成28年度は引き続き、平成31年度で終了する現計画を進捗させるとともに、国土交通省及び文化庁、奈良県そして「飛鳥議連」等との連携や交渉により、第5次計画への布石をうち、繋げるための展開をしてまいります。
さて、道路整備については、県道多武峰・見瀬線の道路改良事業、県道橿原神宮東口停車場・飛鳥線の電線地中化事業、及び村道地ノ窪線の道路改良事業の早期完成を目指すとともに、新たに、都市計画道路・桧前線の事業化検討に向けた現地測量に着手してまいります。幹線道路から集落内道路に至るまで、大字要望等を踏まえ、安全・安心かつ、歴史的風土や周辺景観と調和する村内道路環境の整備に努めてまいります。
次に、水道事業については、効率的な事業運営に努めるとともに、安全で安定した水の供給のため、重要度・優先度に沿った老朽管の更新計画を策定し、順次、耐震化をしてまいります。
下水道事業については、普及率98.8%となり、ほぼ整備は完了しましたが、水洗化率については89.2%にとどまっており、引き続き水洗化率向上に向けて、啓発に努めてまいります。また、整備から維持管理への転換期を迎え、住民サービスを将来にわたり安定的に提供するため、経営情報、資産状況の把握による経営基盤の強化及び財政マネジメントの向上が必要とされることから、公営企業会計への移行をめざしてまいります。

 

 第2は「安全で住みたくなるまちづくり」です。
はじめに、防災力の向上です。近年、局地的豪雨などの従来想定していなかったような自然災害が発生する可能性が高まっていることから、地域の実情に見合った防災・減災対策や自助・共助の重要性に関する意識を高めるとともに、非常時に備え、備蓄品等の充実・強化、並びに自主防災組織の結成や地域の防災資機材の整備などの支援を継続して行ってまいります。また、備蓄物資等を配備するため、新たに防災倉庫の整備を実施してまいります。
さらに、防犯力の向上ですが、引き続き、自主防犯組織である「明日香村地域安全パトロール隊」の活動に対して支援を行うとともに、防犯灯の設置など、安全で安心な地域社会の実現と防犯力の更なる向上を図ります。
また、既存の道路や橋りょうについては、年次計画をたてて点検を実施し、老朽箇所の維持修繕による長寿命化により、地域内道路の走行環境の安全性向上を確保してまいります。
次に、村内の公共交通についてです。昨年10月からの新しい公共交通の実証実験を実施していますが、2月より新たな利用促進策を講じたところです。平成28年度におきましても、周知及び利用促進を図りながら実証実験のデータ収集を行い、今後も住民・観光客に快適で利便性の高い、持続可能な公共交通体系を構築してまいります。
次に、環境衛生対策です。住民生活の中で、毎日発生するゴミ処理に支障をきたさないよう、安定的に確実に処理できる施設の運営と万全な危機管理体制を築いてまいります。また、し尿については、引き続き陸上処理を行い、生活環境の保全と公衆衛生の向上に努めてまいります。
次に、医療・健康づくりについては、村民の皆様が健康で安心して暮らせる村づくりの実現を目指し、将来重要な健康課題となる可能性のある疾患の低減を図るため、奈良県立医科大学等と連携した地域医療連携事業を中心に国保診療所並びに橿原地区医師会等と連携し、各種健診事業の充実に努めております。また、昨年度より実施している地域医療連携事業第2弾「すいみんリズム健診」を40才以上の全村民を対象に引き続き実施し、重症化予防の強化を図ってまいります。加えて、地区懇談による健康教育を実施し、発症予防の推進を図り、村民の健康な生活習慣行動に結びつけられるよう、その方策を村民の皆様とともに検討してまいりたいとも考えております。
子育て支援対策では、安心して子どもを産み、健やかに育てることができるよう、妊娠前から子育て期までの全般にわたる総合相談窓口(子育て世代包括支援センター)を開設し、保健師と保育士が連携して子育て支援コーディネーターとなり、地域のネットワークの構築や子育て家庭の交流事業の充実を図るとともに、子育て家庭が相互に助け合える仕組み「ファミリーサポート事業」の体制整備を図ってまいります。また、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、妊婦健診補助事業・保育園保育料軽減事業・中学3年生迄の医療費助成事業等を引き続き実施し、新たに、不妊治療助成事業や産後健診助成事業・多子世帯にかかる保幼小中の給食費負担軽減事業や幼稚園保育料等軽減事業を実施してまいります。さらに、子どもの遊び場の充実を図るため、明日香幼稚園の園庭開放を行うとともに、近隣公園の遊具エリアにトイレを設置してまいります。また、子育て家庭が安心して子どもを預け働くことができるよう引き続き放課後児童クラブの運営に努めてまいります。
教育においては、幼小中一貫性のある教育内容と接続性のあるカリキュラムを提供し、郷土に誇りを持ち、自ら学び、考え、行動し、自己実現に向けた生き方ができるよう、子どもたちの学習環境を底上げしていきます。また、教育旅行で来村される海外の学生との交流や「明日香の風」、「日韓のかけ橋」などによる英語学習や外国文化に触れる機会を増やし、グローバルな人材を育成するため、国際理解教育の強化・充実を図ってまいります。
また、生涯学習では、地域や家庭、学校との連携を図り、日常生活の中で生活習慣や規範意識、社会性を養えるよう「通学合宿」や「あいさつ運動」等を継続し、講演会や講座を通じた文化振興と村民相互の親睦及び世代間交流を図ってまいります。加えて、「総合型地域スポーツクラブ」による出前スポーツ教室の実施や学校への指導者派遣を行い、スポーツ環境の提供と体力向上、健康増進の支援に努めるなど、本村にある資源を積極的に活用し、「村まるごと学びの場」となるよう生涯学習の推進を図ってまいります。
次に、高齢者福祉です。団塊の世代が75歳以上となる平成37年に向けて、高齢者が住み慣れた地域で介護が必要になっても安心して暮らせるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を図る必要があります。そのため、明日香村社会福祉協議会は平成27年度より、地域福祉の向上を図る中核的な担い手の役割に専念することとし、介護予防や生活支援サービスの体制づくりを強化するための地域ニーズ把握や、シルバー人材センターの再構築などを進めています。平成28年1月には「明日香村シルバー人材センター」が再発足しており、28年度は、シルバー人材センターのマンパワーの集約・高齢者を中心とした地域コミュニティの再構築・住民リーダーの養成などを図ってまいります。
次に、障がい者福祉です。障がいのある方が生きがいや目標をもって生き生きと暮らし、障がいのある人もない人もともに暮らせるよう、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービスの提供に努めてまいります。また、日常生活用具の給付により、生活支援の充実を図り、関係機関と協力して相談支援体制の充実に努めてまいります。

 

 第3に「新しい流れを興し、働く場の創出」です。
初めに、定住促進対策ですが、少子高齢化や若者の流出などにより、村の人口減少が続いており、地域の活力維持と多様な年代が快適に住み続けられるむらづくりが喫緊の課題となっています。そこで市街化区域内公共用地等において、周辺に波及効果が及ぶような住宅供給モデルをつくるため、今年度から街区形成のための造成事業に着手してまいります。同時に、住宅建設を見据えた入居者の募集を行い、平成30年春の入居を目指してまいります。
併せて、子育て世代の転入誘導や地方創生、施設リノベーションの観点から、空き家改修、古民家リノベーションによる補助制度の拡充を図り、移住や起業を推進してまいりたいと考えています。
さらに、農業の振興ですが、農業就業者の高齢化、担い手となる若年層の不足と農産物などの価格低迷等が相まって、農業経営が成り立ちにくい状況が続いており、耕作放棄地が増加し、景観保全の観点からも大きな課題となっています。国においては、所得補填としての「経営安定化対策」、「農地中間管理機構」の創設による農地集約や就農希望者への農地貸付の推進、「日本型直接支払制度」による営農継続支援等の農業改革を推進しており、本村においても制度を活用し、農業者の営農意欲の維持向上、農地環境の維持に繋がる施策を進めてまいります。
さらに、新規就農者等への支援策として、青年就農給付金制度を活用し、就農意欲の高い元気な若者の受け入れを継続するとともに、地域振興公社による農業塾の開講により、農業技術習得段階から就農に向けた支援を進めてまいります。また、高齢農家等の農作業負担を軽減し、営農継続を図るため、農作業を受託する農業者団体等の育成支援、農産物の集出荷体制システムの導入検討を進めてまいります。加えて、農業委員会をはじめ、地域振興公社、農事組合法人等との連携強化により、耕作放棄地の解消に努めてまいります。
また、イノシシ等の有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、奈良県と連携し、獣害防護柵の設置を進めるとともに、個体駆除の強化を目指し、捕獲檻の増設、有害鳥獣駆除従事者の拡充支援等に取り組んでまいります。

 

 第4に「飛鳥の魅力を磨き、来訪者の増加施策の推進」です。
初めに、『飛鳥・藤原』の世界遺産登録については、ユネスコへの申請を踏まえた提案書の作成や条件整備などに努めるとともに、昨年4月に新たに認定された日本遺産『日本国創生のとき~飛鳥を翔た女性たち~』を国内外に発信するなど、飛鳥を世界に発信する取り組みを強化してまいります。
また、村の文化財の価値や魅力をわかりやすく伝えるため、「見える化」「体感」を意識した文化財の保存と活用を図ってまいります。具体的には、飛鳥の中核遺跡である飛鳥宮跡については、県と連携し史跡の追加指定及び公有化を促進し、牽牛子塚古墳では隣接する越塚御門古墳と一体的な保存と活用に向け、史跡の公有化及び整備に係る実施設計を作成してまいります。また、高松塚古墳壁画についても、墳丘と一体的な展示がされるよう、古墳周辺での保存・展示施設の設置に向けて国等へ要望してまいります。
観光振興については、明日香ならではの体験交流型観光として国内外からの教育旅行“飛鳥ホームステイ"等の誘致をさらに推進するとともに、ポータルサイトやあすかナビの充実を図り、併せてインバウンド対応ガイドブックの作成やバーチャル映像の多言語化及び案内サインを整備してまいります。
さらに、村内消費、経済波及のため、光の回廊、彼岸花祭り、古都飛鳥文化祭、フードフェスタ等の誘客イベントを実施するとともに、平成28年秋開園予定の国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区と連動して来訪者の底上げを図るため、誘客事業を展開するとともに周遊による滞在時間の延伸を図るなど、地方創生加速化交付金を活用し、明日香村の更なる魅力発信へとつなげたいと考えています。

 

 第5に「村民及び各種団体等との協働事業」です。
新たに策定しました「総合戦略」を基本とし、行政課題や多様なニーズに即応して、「暮らしたくなる村づくり」、「働きたくなる村づくり」、「魅力を磨き続ける」を具体化するため、村民との対話などを進め、協働によるむらづくりを積極的に推進します。その際、効果効率的な行政運営を継続するため、「明日香村第3次行財政改革プラン」を踏まえ、総合計画との整合を図りつつ、実効性のある組織体制づくりや健全な行財政運営を推進してまいります。
大学等との連携・協働では、大学や企業が有する人材、知識、経験等を活用し、観光、福祉、教育など各分野での連携を深めてまいります。特に関西大学、奈良県立医科大学、奈良県立大学等の大学との間で、より一層の効果的・継続的な取り組みを進めてまいります。
次に、『学術・文化』では、村にかかわる芸術家への発表の場の提供(クリエイティブ飛鳥)や、飛鳥をモチーフにした新たな芸術文化の創出(アートビレッジ)などを展開し、新たな飛鳥の魅力発信を行うとともに、文化の振興と芸術に触れる機会の充実による地域交流の活性化を行ってまいります。
また、本年は村制60周年の年となり、村民の皆様及び明日香村の発展に関わってくださった方々とともにこのことを祝い、これを契機に明日香村のさらなる発展、活性化を目的とし、記念事業を実施してまいります。


 以上、平成28年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた平成28年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。

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