• 調 査 地:奈良県高市郡明日香村大字島庄
• 調査原因:範囲確認調査
• 調査面積:約715平米
• 調査期間:2004年6月10日～現在継続中
• 調査機関:明日香村教育委員会

今回の調査地は、平成15年度に発掘調査を行った石舞台駐車場の東端にあたる。前回の調査では、7世紀前半・中頃・後半の時期が想定されている建物群が検出されている。これらの建物群は、方位や重複関係等から大きく4つの群に分けられ、A群が7世紀前半、B群が7世紀中頃、C群が7世紀後半、D群が年代不詳と位置づけられている。A群の建物は、調査地北側で検出されている方形池と同じ方位で検出されており、時期推定の根拠の一つとされる。

今回の調査は、グランド東端で南北に計3ヶ所トレンチを設け調査を行った。

3箇所のトレンチのうち、中央のトレンチにおいて、飛鳥時代の掘立柱建物もしくは塀になる遺構を検出した。柱掘形の規模は径約80cm、掘形の距離は心々で2.4mの規模をもつ。方位は北から約30°振れている。柱掘形は、東西方向で2間分を検出した。この遺構は、前回の調査で検出されたA群の建物と同時期のものと思われる。

北側のトレンチにおいては、中世の掘立柱建物を検出している。また、北側のトレンチ、中央のトレンチでは、下層に縄文土器・弥生土器を中心とした包含層が存在していることが明らかとなり、これらの時期の遺構が存在している可能性が高まった。

サヌカイト剥片、縄文土器、弥生土器、土師器、須恵器、瓦器、陶磁器、瓦などが出土している。

今回の調査では、縄文土器・弥生土器を中心とする遺物包含層、飛鳥時代の掘立柱建物もしくは塀や、中世の掘立柱建物が検出された。特に飛鳥時代の遺構として、7世紀前半にあたる可能性が高い建物もしくは塀が検出されたことによって、前回の建物群が当調査区まで広がっていたことが明らかになった。