明日香村

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島庄遺跡調査続報

今回は 高市郡明日香村 島庄遺跡の発掘調査成果について紹介したいと思います。

今回の調査は、平成15年度から継続して行われている範囲確認調査の2年目にあたります。調査地は、大字島庄にある石舞台古墳駐車場の東端で、南北に計3ヶ所調査区を設けました。調査面積は約715㎡で、調査主体は明日香村教育委員会になります。前回の調査では、7世紀前半・中頃・後半の時期が想定されている建物群がみつかっています。これらの建物群は、建物が建っているその方位や重複関係等から、大きく4つのグループに分けられています。このうち7世紀前半の建物は、橿原考古学研究所によって調査された、調査地北側の方形池と同じ方位でみつかっており、両者の関係が深いことが考えられます。

島庄遺跡は、嶋宮があったと推定されている飛鳥川近辺、現在の大字島庄近辺一帯を指します。また、これまでの調査で、縄文時代・弥生時代・古墳時代・飛鳥時代・鎌倉時代などの遺構・遺物がみつかっています。このような、様々な時代の遺構・遺物がある遺跡を、複合遺跡と呼んでいますが、今回の調査でも、縄文時代・弥生時代・古墳時代の土器や、飛鳥時代の建物跡、鎌倉時代の建物跡など、多種・多様な発見がありました。

設定した3箇所の調査区のうち、中央の調査区において、飛鳥時代の掘立柱塀になる可能性がある遺構を検出しました。柱を立てるための柱穴の規模は径約80cm前後、それぞれの柱穴の距離は中心から中心までで、2.4mの規模をもちます。柱穴の並んでいる方位は、平成15年度の発掘調査で、7世紀前半の時期に建てられたと想定されている大型の建物と、ほぼ同じ方位でした。柱穴は、東西方向で4間分を検出しました。

北側の調査区では、鎌倉時代に建てられたと想定される掘立柱建物を検出しています。これは、中世島庄の始まりや、その変遷過程を考える上で、貴重な発見となります。また、北側の調査区、中央の調査区では、下層に縄文土器・弥生土器を中心とした包含層が存在していることが明らかとなり、これらの時期の遺構が近辺に存在している可能性が高まりました。

出土遺物にはサヌカイトの剥片や石鏃などの石器、縄文土器、弥生土器(中期)、土師器、須恵器、瓦器、陶磁器、瓦などがあります。また、旧高市小学校跡地であったせいか、明治・大正・昭和の貨幣なども出土しました。

今回の調査では、縄文土器・弥生土器を中心とする遺物包含層、飛鳥時代の掘立柱塀や、中世の掘立柱建物がみつかりました。特に飛鳥時代の遺構として、7世紀前半にあたる可能性が考えられる塀が検出されたことによって、昨年度の調査で明らかになった大型の建物群が当調査区まで広がっていたことが明らかになりました。これらの建物群は、蘇我馬子の「飛鳥河の傍の家」と時期的に重なってくるもので、その関連性がより一層注目されます。

今後も周辺での調査が継続される予定で、遺跡の性格が少しずつ明らかになっていくものと期待されます。

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